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冷血な獣
第15章 黒い渦

申し訳ないけど、本当だから仕方ない。

「俺に近付けない……だと?一体何を言って……」

一瞬ポカンと口を開けて、私の方へそうっと手を伸ばす。そんな龍河さんに向かって謝ろうとするも、私の口からはくしゃみが溢れ、私は両手を口に当てた。

「すいま……へっぐし!」

「……くしゃみも出るのか?」

「そうなんです……へっぐし!」

「……妃南。タバコアレルギーだと言っても……」

私がくしゃみを連発した後、暫くするとまた龍河さんは私に向かって手を伸ばし。

正面から私の肩を抱くと、耳元で甘く囁いた。

「続きはどうするんだ?」

そのまま軽くチュッと左耳へ口付けて。

続けて首筋、鎖骨と柔らかい唇を押し当てる。

先程までの余韻が残り、熱い龍河さんの唇。

私も余韻のせいかゾクッとしたが、心を落ち着かせながら再び龍河さんの体を引き離した。


「私から離れてください」

「!?」

「すいません。……でも仕方がないので」


唖然とする龍河さんへ、謝る。

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