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冷血な獣
第16章 飼い猫
同時にりょう君の顔も紅潮していて、見ていてこっちが恥ずかしくなる。
「っ、妃南に……絶対俺の事好きって言わせてみせるから……だからこれは、決意のキスな?」
「決意……?」
「見てろよ!彼氏より、絶対俺の方が良くなるからな!」
……なんかりょう君って、シャイボーイ……?
右手の甲で自分の顔を隠す姿を見ながら、私は呆然とした。
こっちまで緊張が移る……。額にキスぐらいで。
「じゃあ、これは延期!いつかサインさせるから!」
私から離れて、そのままりょう君はベッドから降りる。
手に持った婚姻届をジャケットの胸ポケットにしまって、動揺したまま言い放つ。
「兎に角、俺は妃南が好きなんだ!」
その言葉に一瞬心がぐらっと揺れたのは多分気のせいだろうけど。私は無言で落ち着かない心を静める事に集中した。