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冷血な獣
第16章 飼い猫

でも、このまま私がいなくなったら、
りょう君は会社の為に結婚させられてしまうんだよね……。
しかも鷺沼さんの彼女と。
それで良いのかな。



「願いは……私に、婚姻者のフリをさせてください」



恐る恐る話すと、りょう君が目を見開く。


「は?何それ……」


私、バカだ
龍河さんを怒らせてしまう事分かってるのに
りょう君を助けたいと思ってしまう


「ごめん。りょう君とは本当に結婚出来ません。でも、結婚するフリをして、りょう君の役に立ちたい。……ダメ?」
「妃南……それが願いなの?」
「うん」



真剣なりょう君の質問に、迷いのない瞳で頷いた。
するとりょう君は少し無言になると、話し出す。


「……分かった。妃南が言うなら、『フリ』して。でも、それだけじゃ俺は諦めないけど」
「りょう君!?」



額に触れる唇。
それが名残惜しそうに離れると、私の顔には熱が集まった。
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