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冷血な獣
第16章 飼い猫
「両親?……ああ、そうだね。来るかな?」
……何?そのふんわりした返事。来るの、来ないの、どっち?
りょう君の言葉に、私は疑問を浮かべる。すると。
「大丈夫だよ。親父、妃南の事気に入るよ」
「そういう事じゃなくて!『フリ』だってバレた後の事、大丈夫?社長、怒るんじゃ……」
「大丈夫だって言ってるじゃん。ね?」
椅子から立ち上がり、りょう君は私の左頬を優しく摘まんで、ニコッと微笑む。その笑顔に、私は一瞬ポカンと口を開けた。……が、すぐに顔を紅潮させるりょう君の姿に、笑いが溢れた。
「って、妃南笑わないでくれる?俺、まだ触るの慣れてないからすぐ赤くなる……」
きっとりょう君が彼女を作った事がないというのは本当かもしれない。恥ずかしそうに目を伏せるりょう君を見て、そう感じる。そしてりょう君が言うなら明日も大丈夫だと、いつの間にか不安も消えていた。