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冷血な獣
第16章 飼い猫
顔色一つ変えずにナイフとフォークで料理を食べる光景は、異様さすら感じる。
「結納って……」
結納という大事な日に皆を騙すというのに、普通でいれるりょう君が本当は冷血なんじゃないかと、そんな事まで考えて。
私は緊張しながら、ナイフとフォークをテーブルに置いた。
「何?嫌になった?」
これは人助けの為。鷺沼さんも、鷺沼さんの彼女も、りょう君も助けたい。その気持ちは何があっても変わらないけど。この込み上げてくる迷いは何だろう。
無表情なりょう君から質問されておずおず答えながら、私は膝の上で両手を握る。
「大丈夫……」
この込み上げてくる気持ちは不安だ。それに気付くと、私は薄く口角を上げたりょう君へ話した。
「本当に良いの?皆を騙して。りょう君の両親も、鷺沼さんの彼女の両親も来るんでしょ?」