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冷血な獣
第17章 花嫁
「ぅうん……っ」
嫌だ。選ぶなんて出来ない。助けて、龍河さん。
「んっ、ぅ……」
涙の潤んだ瞳で龍河さんへ訴える。しかし龍河さんは気付かずに、胸の先端を擦り付けながら更に深く唇を塞いだ。
「っ、……んっ」
……絶望。今の私には、それしかなかった。私の足から手を離して、淡々と話す鷺沼さんの声が冷酷に耳へ入る。
「私達は、同類なんですよ。子供の頃から愛を知らずに育ちました。私も灯さんも、幼少の頃親から虐待されていました」
……そんなの初めて聞いた。知らなかった……。
「同じ環境で育って分かったのは、二人共元々の性格は違っても愛を知らない部分は同じ。愛に無関心というより無知なんです」
だから少し、二人が似ていると思う時があるんだろうか。ごくたまにだけど、二人から異様なオーラを感じる時がある。さっき二人が獣に見えた様に……。