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冷血な獣
第17章 花嫁
「妃南、すまない」
初めから、私の事好きじゃなくて……。自分の為に利用してたんだ……。驚き過ぎて、涙さえ出ない。
「そう言うと思ってました。では、跡継ぎは涼太様で良いんですね?」
「ああ……」
もう声も聞きたくない。顔も見たくない。
二人の会話を聞きながら、私は視線をベッドへ落とす。
「妃南、今日の結納の事だが……妃南?」
突然眩暈がすると、そのままベッドへ倒れ込んだ。
意識を失う前に龍河さんの手が私の肩に触れ、心配そうな声が聞こえてきたが、すぐに手の感触は感じなくなり、声も聞こえなくなった。