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冷血な獣
第17章 花嫁
* * *
「妃南、起きた?」
目を覚ますとベッドの側には、安心した様に微笑んだ椿さんが立っていた。
「椿さん……」
「灯さんから聞いたよ。色々とビックリだね……」
先程と変わらず屋敷のベッドの上で。
いつの間にか仰向けに寝ている自分。
……そうか。急に眩暈がして……。
龍河さんや鷺沼さんは何処に行ったんだろう。
「それに兄貴と結婚するふりなんか……兄貴の事、知ってたんだね?」
「りょう君だとは、最初気付かなかったんですけど……」
「凄いね。運命なんじゃない?」
「運命……?」
明るく微笑む椿さんは、まるで自分のことの様に喜んだ。
「そう!妃南は兄貴と結婚する運命なのかも!……なんてねー」
何と返事をしたら良いのか分からず、私は恐る恐る質問した。
「そういえば、龍河さんは……?」
「何か用があるとか言って何処か行ったよ」
「そうですか……」
良かった……と思うべきだろうか。
今は混乱してて顔を合わせたくない。
「それより結納!もう始まるから、着替えてね!」
慌てて椿さんが私の手を掴むと、私は結納があることを思い出す。