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冷血な獣
第17章 花嫁
「見せて!婚姻届!」
「うん」
私が右手を出すとりょう君はソファの前に置かれているテーブルから、婚姻届を取り私の方へ差し出す。
……本当だ。本当に妻の欄に私の名前や本籍が書いてある。
受け取った後婚姻届を見て、私は呆然とするしかなかった。
「どういうこと……?これ。結婚するフリなんでしょ?婚姻届、私書かないって言ったよね?それなのに何で書いてあるの……?」
気づけば、りょう君は優等生モードで。
こないだの様に丸いレンズの眼鏡を掛け、ブラックのスーツに身を包んでいる。
まさかこの真面目そうな人の口から信じられない言葉を聞くとは思いもせず。
「だって妃南に言っても、結婚してくれねーから」
「だから勝手に書いたの?」
「ああ。結納終わった後、市役所に出そうと思ってる」
「市役所!?本当何考えてるの!?」
衝撃的な行動に、ソファの側で立ったまま身震いした。