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冷血な獣
第4章 お見合い大作戦1
「何……?」
不思議に思いながら、私はラウンジの方へ向き直った。
――まさか背後に龍河さんが立っているとは思わずに。
気付くと、そのまま口をあんぐりさせる。
「妃南。俺に会いたかったか?」
落ち着き払った態度で、質問する龍河さん。
……何で? お見合いは?
「龍河さん、お見合いは……」
「もう済んだ」
済んだって……。
呆然としたまま、龍河さん達が座っていた席へ視線を変える。
確かに椅子には誰も座っていなくて、着物姿の女性もいなくなっていた。
「見合いもなにも、初めから無かった様なものだが」
龍河さんは冷淡に話している筈なのに、その言葉を聞くと嬉しさが込み上げた。