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冷血な獣
第6章 振り向かせたい

「婚約指輪? 結婚?」

龍河さんが? ……ない! ない! ない!

「まさか、人違いじゃないですか? まだ付き合ってそんなに経ってないのに……」
「いや、あれは確かに龍河さんだったわ! 本人に聞いてみなさい!」

熱弁する茶織先輩に、若干引き気味に返事をする。

「そんな聞くなんて事、出来ませんよ……」

もし別の女性に買っていたとしたら?
他の女性と結婚するからと言われてしまったら?

こんな事ばかり考えてしまう自分が、本当嫌になる……。

「ま、そうよね。結婚ってナイーブな事だし、相手が龍河さんなら尚更聞けないわよね」
「……どういう事ですか?」

卵焼きを箸で掴んで口へ運ぶ茶織先輩に、質問する。
まさか信じられない答えが返ってくるなんて、思いもしなかった。

「知らない? 龍河さんの独身願望が強いって噂。結婚のけの字を聞くだけで、即別れ話されるらしいわよ」
「別れ話……?」

箸で掴んだミートボールを危うく落とすところだった。
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