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冷血な獣
第6章 振り向かせたい
* * *
それから1カ月、あっという間に過ぎた。
「妃南、龍河さんとはもう会ったりしてないの?」
今日は日曜という事もあって、カフェは満席状態。
予約してくれていた茶織先輩と同じメニューのランチを食べながら、世間話に没頭する。
「会ってないです」
茶織先輩には龍河さんから別れ話を切り出された事を、別れて一週間後ぐらいに話した。
自分の事の様に悲しんで励ましてくれたこの人を、私は改めて好きになった。
「でも、本当にビックリしたわ。龍河さん、妃南にぞっこんに見えたから」
「そんな事ないですよ……」
「そんな事ない事がないわよ! 龍河さん、妃南にだけ甘いし、仕事中も妃南の事ばかり気にしてたのよ!」
丸テーブルを挟んで、椅子に私と向かい合って座ったまま、茶織先輩は熱く語る。
「男が妃南に話し掛けようものなら、凄い目付きで睨んでたのよ! その職員、後でミスしたらどぎつく説教されてたし!」
「まさか……そんなわけ……」
「なのに、あのジュエリーショップは何だったのかしら? 誰に何を買ったのよ?」
茶織先輩は軽く首を傾げると、怪訝そうに私の顔を見つめた。