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冷血な獣
第7章 振り向かない
「嬉しくないのか?」
「それも、違うような……」
真剣にじっと見つめられると、緊張して体が強張った。
そういえば、部屋に二人きりだ。
もう恋人じゃないから何もないだろうけど、前はここで抱かれたんだ……。
「それより、部屋の中に段ボールが多いような……」
部屋の中を見渡しながら、部屋の端のあちこちに段ボールが積み重ねてある事に気付く。
「ああ、引っ越そうと思ってな」
「えっ!? どうしてですか!?」
「仕事が決まるまで暫くは貯金を切り崩しながら生活しなくてはならないから、賃貸の安い狭い部屋へ引っ越すんだ」
龍河さんが淡々とする話に、私は思わず口走っていた。
「だったら、うちに来ませんか!?」