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冷血な獣
第8章 嫉妬
* * *
朝食を食べ終わり、家事も一段落した頃。
何気無くキッチンからリビングの方を見ると、スーツに着替えている龍河さんが視界に映り、不思議におもいながら尋ねる。
「龍河さん、何処か出掛けるんですか?」
「就職活動だ」
「就職活動……? 面接に行くんですか?」
「ああ。夕方には帰る」
ネクタイを締めながら話すと、次に龍河さんは黒のジャケットを羽織った。
前髪も上げて、会社にいた頃と同じ。
やっぱりカッコいい……。
「何だ? 何かついてるか?」
「あ、いや……スーツ姿、久しぶりだなと思ってただけです」
「惚れ直したか?」
うっかり見惚れてしまっていると龍河さんから真面目に質問されて、一瞬で顔から火が出そうになった。