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冷血な獣
第8章 嫉妬
……が、思い切り鼻を龍河さんの鼻にぶつけて、
「あ、痛っ」
鼻を右手で押さえながら離れる。
まさか冷酷な鬼の様に睨まれるとは、思わず。
「今のは何だ?」
「え……」
「何だと聞いている」
冷たく質問されると、おどおどと答える。
「すいません、つい……」
「ついこんな事を出来るのか、お前」
更に怒りの込められた瞳。
ヤバイ……。
火に油を注いでしまった……。
「やはり佐伯の部屋に住むんじゃなかった」
冷淡にそう話すと、龍河さんはソファから立ち上がり、斜め上から見下ろす。
「出ていけ」
えっ、出ていけって……。
「ここ、私の部屋なのに……」
「何か言ったか?」
「いえ、すいません、出ていきます……」
怖すぎて、体が動かない。
そこまで怒らなくても良いのに。
そのまま私は素直に従い、部屋を出ていくのだった。