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冷血な獣
第8章 嫉妬
面接がダメだったから、娘さんに会って結婚したいと伝えたかもしれないし……。
「佐伯。すまないが、もう暫く俺をこの部屋に住まわせてくれないか?」
不安になっている私へ龍河さんが尋ねると、
「それはもう! 大歓迎です!」
当然花が咲いた様な笑顔で答えた。
そんな私へ、穏やかに微笑む龍河さん。
「ありがとう」
この笑顔が見れるなら、何をしたって良い……。
付き合っていた頃とは全くかけ離れ、私達には距離があいてしまった。
髪を濡らしたままにしていても、鼻腔を蕩かす様な肌の香をさせていても、龍河さんは前の様に私を引き寄せてはくれない。
龍河さんの笑顔だけが付き合っていた頃と同じで、あの時の龍河さんが目の前にいる様な錯覚をし、幸せで胸いっぱいになる。
「いえ……。あの、龍河さん……」
「何だ?」
そろりとソファに座っている龍河さんへ近付くと、私は冷静な龍河さんの唇へキスしていた。