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飼っていたペットに飼われています。
第13章 おかえり(スイ目線)

もう昼過ぎだ。スイは死んだように眠り続けるサキの顔を不安そうに覗いた。
あんなに酷いことをしておきながら心配する資格はないことはわかっている。キツく縛っていた手首は赤く擦れて鬱血し、痛みを我慢するために強く握りしめたのであろう手のひらは爪が食い込んで出血していた。
頬には幾数もの涙の跡が残っている。そっと舐めるとしょっぱくて苦い味が広がった。
何やらくすぐったかったのかサキが目を開ける。
俺の顔を見た彼女はまた泣くだろうか、怯えるだろうか、怒るだろうか。覚悟はできてる。
ところが、自分を見た彼女はどこかホッとしたような表情を浮かべた。
何かを俺に伝えようとするが、声は枯れて出てこない。布団から起き上がろうとするのも、痛みで力が入らないようで難しそうだった。
俺はサキを抱きあげて湯をためたバスタブまで連れて行った。
少し染みるだろうが体を洗い流したいだろう。サキはされるがままになって不安げな瞳で俺を見る。側にいるとまた何かされると思ってるんだろうな。
黙って出ていこうとすると慌てたように手を掴まれた。鏡を指差している。見たいということか?
「ここじゃ曇って見えないだろ。あとで洗面所の前の鏡連れて行くよ。」
それではダメだというように首を振る。仕方ないな。
風呂からあげて鏡の前で抱きかかえる。
人差し指で何かを書いていくサキ。
"おかえりなさい"
そう書いてニコニコしている。
「………お前馬鹿だな。」
そう言って、また湯の中に戻すがこの手を離したらもう会えないとでもいうようにギュッと握って離さない。
「10分くらいしたらまた来るから。」
そういうとようやく安心したように手を緩める。サキに背を向けて風呂場を出てリビングに戻るとしゃがみこんだ。
自分のやるせなさに立っていられなかったから。
あんなに酷いことをしておきながら心配する資格はないことはわかっている。キツく縛っていた手首は赤く擦れて鬱血し、痛みを我慢するために強く握りしめたのであろう手のひらは爪が食い込んで出血していた。
頬には幾数もの涙の跡が残っている。そっと舐めるとしょっぱくて苦い味が広がった。
何やらくすぐったかったのかサキが目を開ける。
俺の顔を見た彼女はまた泣くだろうか、怯えるだろうか、怒るだろうか。覚悟はできてる。
ところが、自分を見た彼女はどこかホッとしたような表情を浮かべた。
何かを俺に伝えようとするが、声は枯れて出てこない。布団から起き上がろうとするのも、痛みで力が入らないようで難しそうだった。
俺はサキを抱きあげて湯をためたバスタブまで連れて行った。
少し染みるだろうが体を洗い流したいだろう。サキはされるがままになって不安げな瞳で俺を見る。側にいるとまた何かされると思ってるんだろうな。
黙って出ていこうとすると慌てたように手を掴まれた。鏡を指差している。見たいということか?
「ここじゃ曇って見えないだろ。あとで洗面所の前の鏡連れて行くよ。」
それではダメだというように首を振る。仕方ないな。
風呂からあげて鏡の前で抱きかかえる。
人差し指で何かを書いていくサキ。
"おかえりなさい"
そう書いてニコニコしている。
「………お前馬鹿だな。」
そう言って、また湯の中に戻すがこの手を離したらもう会えないとでもいうようにギュッと握って離さない。
「10分くらいしたらまた来るから。」
そういうとようやく安心したように手を緩める。サキに背を向けて風呂場を出てリビングに戻るとしゃがみこんだ。
自分のやるせなさに立っていられなかったから。

