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第58章 高木夫妻（サキ目線）

　雪が溶ける少し前、私の完治を待って2人で山を降りた。　
部屋を綺麗に片付け、布団などの消耗品もすべて新しいものに変えてスイに話を聞いていた高木さんのお宅へ伺う。
　白髪が混ざった優しい顔の旦那さんと、隣でにこにこしている小柄な奥さまが出迎えてくれた。

　通された居間で座布団を降り、スイが頭を床をつけてお礼を言った。
「見ず知らずの自分のような者に、こんなに親切にして頂いて本当にありがとうございました。」
　高木さんは奥さまと顔を合わせて笑いながら言う。
「見ず知らずじゃないよ。君のことは妻から聞いていたからね。ちゃんと大切な人を守れたようで本当によかった。」
　意味がわからず、顔を上げるスイに高木さんは衝撃の事実を告げた。
「うちの場合は妻が他所から来た女性だからね。地球以外の。」