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イケないキミに白い林檎を
第14章 それぞれの愛
「……秘密。でも、言わなくても分かるんじゃない?」
「分からないから聞いてるのに。どこまでも意地悪ですね。流石、大魔王……」
悪口をポロッと零すと、抱きしめる力がほんの少しだけ強くなった気がした。
「ねえ、乙羽さんは知ってる?よくあるこの話。
勇者と結ばれるはずだったお姫様は大魔王に拐われる。でもいつか勇者が強くなって、お姫様を大魔王から取り戻してハッピーエンド」
「そう言うゲームよくありますね」
「うん。……だから、乙羽さんももうすぐ幸せになれるといいね」
私の髪を優しく撫でながら妙に穏やかな声で囁いた。
今日の日付を思い出して気付く。
もう少しだってことを……。
ソラ先輩の恋人としての時間が終わる日。
気持ちがハッキリしないまま刻々とその時へと一歩一歩進んで行く。
残りあと一週間……――――