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イケないキミに白い林檎を
第30章 林檎の花

「今はあのつらかった頃じゃないんだ。そして、今の乙羽さんの手を握ってるのは今の俺だよ」


「今の私たち……――――」


それが過去から現実に引き戻してくれるように聞こえた。

当たり前だと思っていても気付かなかったことを言葉にされて心に染みていく。


大丈夫……。

ソラ先輩の手は大丈夫。

自分にいい聞かせて温かさを感じ取った後、手の震えに打ち勝つように握る力を込めた。

そのまま指を絡ませていると少しずつ落ち着いてくる。


「今後、乙羽さんを傷付ける人がいたら俺が守るから……」


キスを落とされた時には恐怖心が和らいでいて、自然に手を握りながらソラ先輩を受け止めることができた。

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