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コーストライン
第2章 黒電話
ダイヤル式の電話が鳴るのを心待ちにしていた時より、夜中に鳴り響く無言電話に悩まされる時の方が多くなったのはいつからだろう。
「久し振り〜、おつかれ」
「お疲れ様、お腹すいた」
「先ずは腹ごしらえから」
久し振りに奈美と時間があったので仕事帰りに駅で待ち合わせた。
奈美は車で来ていた。
車のドアを開け叶和は助手席に乗り込む。
「車ってことは」
「食後はドライブ」
「明日も仕事だよ私」
「近場、平日だし」
「。。。灯台」
「そっ、久々に茶化し中には入らないでその周りをグルッと」
「あの時は遅い時間だったから」
「関係ないんじゃない」
「早い時間はひやかし程度」
「その根拠は」
「経験値」
「信憑性ゼロ」
「ま、でも付きあって
そこを抜けてその先まで気晴らしに」
「なんかあった」
「何もなさすぎ」
奈美は叶和の一つ年上の女性だ。
仕事で知り合い親しくなった。
のではあるが、実は同じ中学に通っていたらしい。
叶和は覚えていなかったが、奈美が覚えていて話しかけてきたのがキッカケだった。
今ではこうして連絡してお互いの時間が合えば食事に行ったり、遊びに行ったりする間柄。
お互いに気兼ねなく気軽に暴言も言い合える同性の友人だ。
「ってことは、奈美ちゃんの奢りだね」
「はっ、前回も私が年上ってことで奢らされたよね」
「そうだっけ」
「ファミレスなら奢っても良いけど」
「んー、じゃあ割り勘で」
「OK」
今日はファミレスの気分ではなかったので奈美に奢ってもらうのは諦めた。