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コーストライン
第2章 黒電話
「ホントだ、平日空いてるんだね」
「それでもいるけど」
灯台の近くに並ぶ売店の道路を挟んだ海沿いの駐車場にはそれなりの数の車が連なっていた。
「週末連れてきてもらった時はビックリしたけどね」
「ありゃー若さ炸裂だもん」
「イヤー、奈美ちゃんもヤンチャだった時は毎週でしょう」
「週末休みの仕事したことないから知らん
あんときはうっかり週末って忘れてたし」
「無性に夜の海が見たいって連れ出されたし」
「そうそう、
で、この道で嵌ってキレたし」
「昼間はスィっとドライブにいいもんねここ」
「そうそう、週末の夜は最悪だってあの時思い出したよ」
「ずっと地元なのにね」
「案外そんなもんだよ」
「え、私知ってたよ
高校卒業したら話ネタに行ってみようって」
「。。。興味ないしナンパなんて」
「ま、その頃の奈美ちゃん知らんからどうでもいいけど」
地元では有名な出逢いの場所を通り過ぎて、松並木に沿った道を進み水族館裏の浜辺へと向かう。
人影の無い浜辺。
自動販売機で買ったコーヒーを片手に浜上に遊歩道に休憩用に設置してあるベンチに座る。
「浜に降りる?」
「んーん、ここで良い」
「なんかあった?」
「別に。。。海が見たくなっただけ
でも、一人は嫌だった」
「あるよね、そう言うの」
波の音をBGMに、缶コーヒーを飲む。
「食後のコーヒーをここって贅沢だよね」
叶和がそれとなく呟く。
「缶コーヒーってとこが残念だけど」
「じゃあ今度本格的なコーヒーをポットに入れて持参する?」
「真夜中のピクニック
計画するの面倒、フラッとこうして来たいから嫌」
「だよね」
「ありがと、気晴らしになった
行こっか」
「ん、どういたしまして」
私も、
という言葉は伝えず帰路に着いた。