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コーストライン
第1章 ベルが鳴る




♪♪♪~♪♪♪~♪

真夜中に響く 、着信音。
条件反射で、音のする方を まさぐる。

無意識に 画面を タッチし、電話に出る。



「あと、10分後」



秒殺で、通話 終了。


ーー今、何時だ?


握りしめた スマホで、時間を 確認する。

01.45

つい、先程 寝付いたばかりの 身体を 起し、身支度を整える。

ふいの電話で呼び出されるのは、出会った頃から変わりない。

サイドテーブルの上、眼鏡の取り パーカーを羽織り、微かな車のエンジンの音が 聴こえる。

来たであろう その人物を 思い、部屋を後にした。



「しょろい」



車の外、ボンネットに 軽く腰掛け煙草をふかすその手を止め 携帯用灰皿を取出し、そこにしまう。

顎をクイッと 動かし、車の中へと誘う。



「今日は?」

「別に」



海沿いに通じる T字路に差し掛かる。



「右折? 左折?」

「右折」



助手席から、溜息が漏れる。

T字路を 右折し、パワーウインドウが開かれる。

湿気を含み、潮の香りを纏い夜風が車内を通り過ぎる。

潮風をサウンドに 無言で 車を走らせた。





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