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コーストライン
第3章 さざ波
浜辺に降り服が汚れるのも気にせず、叶和は砂の上に腰を下ろす。
目に映る、遮るもののない月の明かりに照られた陰影の深い藍。
波の揺れに反射される淡い煌き。
ざわついていた気持ちがゆっくりと煌きとシンクロして落ち着いてくる。
サク、サク…と砂を踏みしめて近寄ってくる足音に、叶和の隣まで来て鳴り止んだ足音、膝に乗せていた顎を離し、その足音が止まった方に顔を上げる。
「はい」
「なんでココア?」
「疲れた顔してる
いつだか、の見損なったでしょ」
疲れたからココア?
糖で脳を活性化?
くだらないことを思うが、今は単純に好意だけを受け取っておこうと、叶和はありがとうと言って受け取った。
「こんな場所もあったんだね」
「俺の穴場、落ち着きたいときにたまに来る」
「結構遠いのに」
「だから良いんだよ
運転に集中するから余計なこと考えず済むし、そうしてここまで来たら、気が紛れるってことがよくある」
「ふーん、圭吾君もそんなときがあるんだ」
「それなりに
叶和さん見てると一人でよく抱え込んでそうだから」
「よく見てるね」
「どうかな、でもさっき叶和さんを見て辛そうだった」
「。。。確かに」
そのあとはココアを飲み干すまで、黙って前を見ていた。
「圭吾君もココア?」
「無糖コーヒー」
「糖よりカフェインがよかった」
「覚醒しいたらまた色々と溜め込む」
「そうしたら、また慰めてくれるでしょ」
「どうだか」
気持ちがだいぶ落ち着きた叶和は照れ隠しにそんな悪態を圭吾についていた。