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コーストライン
第4章 ココア
その日は朝から雨が降っていた。
夕方から雨足が上がり客場は閑散として終了時間前には雑用も終わり叶和は同僚と終了時間が来るのを待っていた。
「吉田さん、交代で着替えてきたら、私ココ見てるからお先にどうぞ」
「じゃ、遠慮なく」
店舗に保管してある私用物を持ち、共用のスタッフルームで着替えをする。
私用物をバックに仕舞うときスマホの着歴を確かめた。
おや、登録してある人物だが普段やり取りのない人物からのメール着信に、叶和はスマホをタップしてメールを確認する。
そこには、夕方に降った豪雨のため電車のダイヤが乱れているから迎えに行くとメールされていた。
断わりのメールをと思い、送信時間を見ると今から三十分弱。
出ているのなら、もう直ぐ着く時間だ。
ーーもう少しかかるけど、駅前のロータリーにお願いしますーー
折角なのでその好意に甘えることにした。
手早く返信、着替えをして同僚と変わるべく店舗に行こうとしたところメールの着信音がして、OK。素っ気ない返事が送信されてきた。
駅中から駅前のロータリーに出ると、人待ちのタクシー、同じように人を迎えに来ている車の中に、見慣れた車を叶和は見つけた。
相手も叶和が駅から出てきたのを見て車を叶和の近くに移動してきた。
夕方は豪雨だったが今は雨足も収まり小雨。
傘もささずに、助手席に滑り込んだ。
「ありがとう
でも、どうして?」
「和希に頼まれて、和希からもメール入ってたとおもうけど」
「入ってたけど、スルーした。。。」
「俺のは読んだのに」
「珍しい人からだったから何事かと読んだ」
「なんだそりゃ」
「ま、堅いことは言わず」
「余計、意味不」
後ろから来ていた車にパッシングされ、圭吾は車を発車させた。