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コーストライン
第4章 ココア
「それだったら、電話で良くない」
「なに集令かけちゃ悪かった」
「イヤ、暇だから良いけど」
「じゃあ問題ない
あ、来月のシフト調節OKだったら電話で良いから連絡して」
「今からなら多分OK
そこは電話なんだ」
「さーて、今日は海の気分じゃないから山だな」
「ってスルーしといて山って何」
「恒例ドライブ、送りがてら寄り道」
相変わらずのマイペースな奈美に苦笑が溢れるが、そう言うところが好きだな、と叶和は思う。
「ひょー、綺麗」
奈美が連れてきたのは地元地区の山だった。
「地元で知らなかったの」
「ココに登ったのは小学校のマラソン大会以来だよ」
山から見る夜景は色とりどりの明かりが灯りその先には海。
海には数隻の船の明かりが見える。
「機会があったら誰かと来れば?」
「誰か?」
「さて、帰ろう!
いい返事待ってる」
車の運転席に奈美は乗りエンジンをかける。
置いて行かれても、家には徒歩で帰れるが夜の山道を一人で帰るのは流石に怖いので尽かさず叶和はドアを開け乗り込む。
「今、変なこと企んだでしょ」
「うん、ドアにロックかけようとしたけどそれより先に叶和に乗られた」
やっぱり
奈美とは変なところで気が合う。
尽かさず乗り込んで正解だった。
くねくねとした山道を下りながら、奈美の要件を考える。
来月の休みはまだ申請していないから大丈夫だろう。
スマホで来月のカレンダーを見ながら、奈美の言った日にちを軸にシフトを明日、店長に聞いてみようと叶和は思っていた。