この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
コーストライン
第4章 ココア
「叶和、今日はありがとう
返事待ってる」
叶和の家の前で降ろし、奈美の車は走り去った。
玄関先の外灯が灯っている。
鞄から鍵を取り出すこともなく、ドアに手をかけ開く。
「ただいま」
玄関口で挨拶をして、内に入る。
内はひっそりとしていても、人の気配があり、叶和は安心をする。
「おかえり」
声がする方に顔を向けると、圭吾が自分の部屋から出てきた。
「ただいま、どうしたの」
「ちょっと休憩にコーヒー」
「あ、私ココアね」
「俺、コーヒーって言ってるんですけど」
「この間の蜂蜜入り、出来るまで着替えてくるね」
パタパタとスリッパを鳴らせて叶和は部屋に行き、服を部屋着に着替え、机の上に置いてあるメイクのクレンジングシートを取り、鏡の前で顔を拭き取りキッチンに向かった。
「出来た?」
「はい、どうぞ」
叶和の前にココア入りのマグカップを置き、圭吾は自分のコーヒーを入れる。
「あ、私先だった」
「勿論、俺のはインスタント入れてお湯を注ぐだけですからコーヒーからだとこの間みたく冷めてしまいます」
「だからこの間一気に飲み干せたんだ」
「ソコきますか」
「へ、」
「イヤ」
そんなやり取りをして、ココアを入れてくれたお礼にマグカップを洗う。
「じゃ、俺部屋に行きます」
「どうぞ、ココアごちそうさま」
マグカップを洗い水切りカゴに入れ、
圭吾君と行ったら楽しいかも
ふと、先程の夜景が叶和の脳裏に浮かんだ。