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第5章 be ru ga na ru




♪♪♪~♪♪♪~♪


真夜中に響く 、着信音。
条件反射で、音のする方を まさぐる。

無意識に 画面を タッチし、電話に出る。



「あと、10分後」



秒殺で切れたスマホから聞こえてくた声は、女性にしては、低く周りによってくる媚を帯びた声とは違いあり心地よい響きがある。

つい先程バイトから帰ったばかり、うつらうつら眠りに就こうとしたときの呼び出しに圭吾は叶和には甘いなと自分でも思う。

家を出たら叶和は既に車のボンネットに軽く腰かけ、煙草の紫煙を暗闇に揺らしていた。

その所存に暫し、見惚れていたが、叶和は一言発し、圭吾を即す。

必要最小限の会話で車は目的地に進む。叶和といて圭吾が心地良いと思うのは、そう言うところだ。

叶和と出会ったのは、叶和が地元に帰ってきたときと叶和は思っているだろうが、実は違う。

海沿いに通じる T字路に差し掛り、支持された進路に車を滑らせる。

それとなく同時に叶和はウインドウを全開にし、風と共に潮の香りが車内に拡がる。

圭吾もウインドウを少し開け、風の通しをよくする。
助手席をチラリと横目に見ると、叶和は窓の外の漆黒の海を長い髪を潮風になびかせ眺めている。

深夜と言う時間帯の為、すれ違う車も殆どない道を進む。

潮風に時折漂う、叶和の髪から漂う、シャンプーの香り。

その香りにはじめてあったときのことを、圭吾は思い出していた。





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