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第2章 煩悶

告別式に行ったって、お父さんとお母さんの顔が判るくらいで。
向こうは私のこと知らないし。
バッグから母子手帳を取り出す。
母親の欄には、吉田清美の表記。
父親の欄は、空欄。
籍を入れたら、昌幸さんに書いてもらうつもりでいた。
子供が生まれたら、ディー・エヌ・エー検査とかすれば、昌幸さんの子供だって証明出来る…？
そしたらこの子をご両親に合わせて…私は？
子供は引き取ります、あなたは若いから1人で生きて行って、と言われたら？
というか、そもそもディー・エヌ・エー検査なんてどうやって調べるのかもわからないのに。
ご両親がこの子を引き取ってくれるかどうかもわからないし、未婚の母で、定職もない、このお家にこれ以上迷惑を掛けるわけにもいかない。
赤ちゃんポスト…って大阪にあるのかな…
施設に預ければいいの？
私のいた施設は、早く出て行きたい、ってほど悪い環境ではなかったけれど、私はお母さんとアイツといた頃にしても、北海道の家にしても、快適な家をあんまり知らなかったし、他に行くトコがないと思えば納得はできた。