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手を繋ごう〜愛憎II〜
第13章 不穏
誠は助かったと言わんばかりに紘の方に向かい

「おはよー!」

と、声を掛けていく。

紘を見るなり、パッと顔を輝かせるが、もじもじしている夏子を見て、

「なっちゃん、もしかして!?」

と、夏子に言っていた。

しーっと人差し指を夏子は唇にあて、

「紘くんって、好きな人とかいるのかな?」

と、零す。

「それは聞いた事ないけど…へー、意外だなぁ」

と、萌は言っていた。

クラスが一緒で親友の萌の彼氏である友達…とは言え、今回、護衛をすると言う事くらいからしか、紘と夏子が一緒にいる所を見たことがなかったのだ。

「紘くん、野球部でしょ?」

夏子は言う。

「あ、そっか、なっちゃんマネージャーだもんね」

と、親友なのに忘れていてごめんごめんと手を合わす。


「なんか…千本ノックで…ほら、マネージャーって先生とかキャッチャーにボール渡すでしょ?」

「うん。」

「その時…キャッチャーの先輩が取り損ねたのを近くにいた紘くんが慌てて来てくれてね。助けてくれたの。」

「え、そんな一面あるんだ!」

「そうそう、ほとんど助けてくれるの、不可能な位置にいたんだけどね。
パッてダッシュしてくれて…」

「それで好きになっちゃったんだ?」

夏子はしーっと唇に人差し指をあてがいながらも、

「なんかね。やっぱりいつもと違う一面見ると違うなーって」

そんな夏子の言葉に

「あはは!確かに!まこちゃんたちといっつもおバカな話ばっかりしてるもんねー」

と言う。

「そうそう!なんかクラスの盛り上がり度があの3人によってコントロールされてる感じするよね」

そう言いながら玄関に入った時、丁度上履きを履いていた部活で一緒の佐藤唯に萌は出会い

「あ、唯ちゃんおはよ!」

そう言っているのにも関わらず、スッと、萌の前を横切る唯。

(??聞こえてなかったのかな?声大きかった筈なんだけど…)

そう思いつつ、夏子と教室への道を歩いて行った。
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