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手を繋ごう〜愛憎II〜
第15章 動き出す思惑
部活でオーボエの練習をしていた萌は突然、ピシャンッと乱暴に教室のドアが開いたのを驚いて見た。

榎本豊である。

「え、榎本くん、どうしたの?」

小橋カンナが驚きながら問う。

榎本豊は

「ああ…ちょっと澤村先生と話をしてまして、遅れました。」

(ゆうちゃんと?何かあったのかな…?)

ゆうと話をして遅れる…萌にとってはその中身が自身にとっては重大な事ばかりだった為、怪訝に思う。

榎本豊と言えば、5月に突然告白をされ、全く予想だにしていなかった為、つっけんとんに振ってしまった…萌はそんな事を思い出す。

初めはぎくしゃくしていたし、誠の痴漢行為で萌自身も色々思うことがあり、全く話さないでいたが、入学したてから眺めていた榎本豊と言う人物は、穏やかで分け隔てなく人と接するタイプ…誠らのように目立ちはしないが、他のクラスメイトから頼りにされる…そんな認識を持っていた。


片手にオーボエケースを持ち、スタスタと歩いている姿を黙って眺めていた萌は、隣にいた唯が俯ていた事を察し

「ど、どうしたの。唯ちゃん?」

と、聞く。

唯はハッとした表情を浮かべ

「何でもないわよ!」

と、強い口調で話すのに、ビクッと萌は反応する。

今日の朝から挨拶をしても何も返してくれなく、音楽準備室からオーボエを取りに行く時も、いつもは萌と話をしながら行くのに、今日は小橋カンナと楽しげに話をしていた。

少し離れた距離で一人それを眺めていた萌は寂しさが襲った。

(どうしちゃったんだろ、唯ちゃん…)

高体連の時だって、コンクールの時だって、お互い励まし合いながら、楽しく部活をしていた仲間であり、友人である唯の突然の行動変異に驚きを隠せずに、また、どのように話かけたら良いのかすら萌には分からない。

榎本豊が加わり、また、パートの練習が始まる。

萌のオーボエからピーと言う空気が抜けた音がする。

フッと、オーボエのリード部分を見ると亀裂が走っていた。

「あ、すみません!リードが壊れてしまいました!」

そう言うと、練習がストップする。

「うん。今日はちょっと乾燥しているみたいだからね。少し一息入れようか」

小橋カンナが言い、

萌は
「ありがとうございます!」
と、ガサゴソとケースの中にある予備のリードを探す。
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