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第17章 田嶋 紗栄子
ベンチに座っている人がいて。
怖い人じゃありませんように!と心の中で祈りながら目を合わせないように通り過ぎようとした時、俯き気味だったその人がふっと顔を上げて、ぼんやりと空を仰いだ。
物憂げな顔をしたその人は…敬さん。
私はびっくりして、思わず立ち止まる。
「…敬さん? こんなとこで、どうしたんですか…?」
急に名前を呼ばれた敬さんは、びくりと肩を震わせて私を見た。
「あっ…加藤さん…」
「今日は肌寒いし…そんなカッコじゃ風邪ひきますよ?」
「………」
いつもと様子が違うのが気になって、私は隣に座った。
沈黙が流れる。
何か話そうかな、と息を吸い込みかけたとき。
「……彼女に、プロポーズしたんだ…」
と、敬さんが呟いた。
ズキ、と胸が痛んだ。
あぁ、やっぱり私…この人が好きなんだ。
好きになった時には、もう遅かったわけだけど…こんな決定打を聞かされて、気付くまいと抑えてた気持ちに気付くのって、切ないなぁ…と、少し目が潤む。
怖い人じゃありませんように!と心の中で祈りながら目を合わせないように通り過ぎようとした時、俯き気味だったその人がふっと顔を上げて、ぼんやりと空を仰いだ。
物憂げな顔をしたその人は…敬さん。
私はびっくりして、思わず立ち止まる。
「…敬さん? こんなとこで、どうしたんですか…?」
急に名前を呼ばれた敬さんは、びくりと肩を震わせて私を見た。
「あっ…加藤さん…」
「今日は肌寒いし…そんなカッコじゃ風邪ひきますよ?」
「………」
いつもと様子が違うのが気になって、私は隣に座った。
沈黙が流れる。
何か話そうかな、と息を吸い込みかけたとき。
「……彼女に、プロポーズしたんだ…」
と、敬さんが呟いた。
ズキ、と胸が痛んだ。
あぁ、やっぱり私…この人が好きなんだ。
好きになった時には、もう遅かったわけだけど…こんな決定打を聞かされて、気付くまいと抑えてた気持ちに気付くのって、切ないなぁ…と、少し目が潤む。