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続・飼っていたペットに飼われています。
第38章 先輩の秘密(スイ目線)
「お前……何言ってんの? サキの運命狂わせたようなヤツだよ? それなのに全部忘れて今後ものうのうと生きてるなんておかしいだろ。」
 両肩をグッと掴んで顔を覗き込むと、ビクッとしながら目を逸らして言い訳する。
「だって…。それは侑斗くんのしたことはすごく憎いし、お父さんとお母さんのことも、私のために食べちゃった人達のこと考えても許せないことだけど、元々運命狂わせちゃったのはこっちのせいだよ。……多分、本当は優しい人だもん…。痛っ! 痛い…! スイ、離して! ………はぁ。もうっ!」
 ミシミシと音を立てる細い肩を離してやると、サキは逆に怒った顔をしてサクラギの方に駆け寄って顔を近づけ、小声で話す。
 俺に聞こえないようにと思っているんだろうが、こっちは耳とか鼻が人間より発達していることをコイツはすぐに忘れてしまうんだ。

「……そもそも私の運命が狂ったのはスイと出会ったからってことですよね? それで、あの…。サクラギさんがいてくださる限り、スイは誰かに消されたり傷つけられる心配とか、新しく人間食べたりする必要ないって解釈で大丈夫ですか? 私、…スイとはこれまで通り、今のままの彼と普通に生きていきたいんです。そのためだったら私にできる事は何でもしますから…。」
「……サキちゃん、サキちゃん。全部スイくんに丸聞こえだから。男に何でもする、とか簡単に言っちゃだめだよ。只でさえこう…、サキちゃんは地球上の内外の生き物問わず、周囲を惑わせる変な色気みたいなのあるんだから。俺もぶっちゃけそこにスイくんいなかったら危ないところだよ…。」
「え? 私色気なんて無縁…、」
 上目遣いで小首を傾げ、余計にサクラギの心を煽る馬鹿の真後ろに移動すると、細い首を固めるように腕を回し回収する。
「…サクラギさん、俺がその機械奪ったら流石のサクラギさんでも消せます?」
「スイくん、俺は悪くないよ…? 君もこれから益々苦労しそうだね…。とりあえず3日後には徐々に周囲の人間にもスイくんの記憶が戻るからそれまで2人でゆっくりしてね。じゃあまたライブザファーストで会おうね! 新曲楽しみにしてるよ〜!」
 逃げるように車に乗り込み去っていくサクラギを見送って、いつもの家に帰った。
 その隣にいつもの彼女がいる幸せを噛み締めながら。
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