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第23章 君と全てをやり直したい。③（スイ目線）

「高木さん…、サキが…！」
「わかってるわ、スイくん。落ち着いて聞いて。」

　深夜にも関わらず、サキの電話帳から「高木さんの奥さま」と書かれた番号を探して縋るように電話すると、全てわかっていたというようにワンコールも待たずその人は反応した。
　彼女は星は違えど、同じ宇宙から地球にやってきて人間を愛した異星人だ。
　そして、過去にもその透視能力と予知能力で俺とサキを助けてくれた恩人でもある。

「サキちゃんに使われたのは、本来なら食べてしまった生き物自身にすり替わりたい時に使用するものなの。スイくんもこうなっていなかったらいずれ自然と作れるようになっていたわ。明日の朝彼女が目覚めたら、侑斗さんと出会って少しした頃の13歳の春の姿に身も心も戻ってる。」
　聞きながら妙に腑に落ちるあたり、やはり自分の頭の何処かにインプットされていた事なのだと感じた。
「そして、その世界には本来普通に生きていれば出会う運命じゃなかったスイくんは存在しない。目覚めて初めて今のあなたと出会うのよ。その後彼女は一晩の夢の中でまたスイくんのいない1年間を過ごし、朝目覚めて再びスイくんと再会する。その時には体も一緒に成長してるわ。サキちゃんが明日目覚めてからは、いまスイくんがいる部屋以外の場所でもスイくんがいない世界になってるから気をつけてね。」
　本来は出会う運命じゃなかったとはっきり聞いて胸がズキリと痛む。でも、このままサキが見えなくなるまで縮んで消えてしまう訳じゃなくて本当によかった。