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***堕散る(おちる)***
第24章 step24十八段目…春
女将さんが男性を従えて戻ってきた。
重箱の他に、男性が丸い筒のようなものを担いできたのだ。

「何ですか?それ…」

「七輪といって炭焼きの道具ですよ。」

筒の中に炭が入っていて網が乗っていた。

「これで塩焼きにしたお魚が一番美味しいですからね。焼きたてを是非召し上がっていただきたくて…」

先ほど釣った魚が串に刺されて塩を振られている。
男性が素早く炭を起こして、魚を網に置いた。

「あら、また仲良く一匹ずつ釣れたんですね。
夜天ぷらにしましょうか?」

「お願いします。」

男性はその魚を持って宿に戻っていった。

パチパチと炭がはぜる音を聞きながら、ワタシ達は魚が焼けるのを岩に腰掛けて見ていた。

「さあ、お召し上がりくださいね。」

重箱の蓋を開けて渡される。

蓋をお皿代わりにして串に刺されたままの魚を頬張った。

「美味いっ…」

「本当に美味しいです。」

「自然のものをすぐにそのまま頂けるのが一番のご馳走ですわ。」

続いて椎茸や筍が網に乗せられた。

重箱の中には蕎麦や野菜の煮物などが沢山詰められていた。

「筍も取れるんですか?」

「ええ、筍掘りしてみますか?」


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