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第24章 step24十八段目…春

｢紅葉御膳をお持ちいたしました。｣

｢女将さん、今晩から他のお客さんがいらっしゃるんですよね。｣

一瞬大人のハルトに戻ったので吹き出しそうだった。

｢左様でございます。ですので…｣

｢わかってるよ。洞窟風呂は、もう満喫したから…
そうじゃなくてね。
女将さん、他所の部屋のお給仕しないのかなって…｣

｢せっかくご延泊いただいての猪鹿鳥コースですし、お昼に掘られた筍料理もありますので、最後まで私がご案内させていただきます。｣

｢そう、それは楽しみです。｣

｢では、早速ですが、筍のお刺身からお召し上がりください。
まずは何も付けずにそのままで、生醤油、わさび、酢味噌、山椒などでお楽しみください。｣

薄めに切られた筍がお膳に上がる。

｢ん、甘いよ生筍、ルリも食べてごらん。｣

｢本当に甘い、何かの味に似てる。
栗、栗のようです。｣

｢そうですね。
今日しか味わえない贅沢なものです。｣

沢山の小鉢が並び、陶板焼きが用意される。

｢メインは味噌仕立ての紅葉鍋ですが、先に、朴葉巻きの陶板焼でお召し上がりください。｣

｢ほうば？｣

｢左様でございます。朴木の葉で包み焼くことで葉の香りが移るのです。｣