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第24章 step24十八段目…春

｢根に近い方は、ﾁﾛｼﾝという成長促進効果のある成分が沢山含まれているんですよ。
こちらも日を置くと固さが出てしまいますが、
新鮮だとｼｬｷｼｬｷとした歯ごたえがお楽しみいただけます。｣

｢肉じゃないステーキって初めてだな。旨い、本当歯ごたえいいね。｣

ワタシが食べると、

｢うん、ルリは色んなところが成長中だからな、沢山食べるといいよ。｣

また妖しい笑みでハルトは言う。

多分、胸のことを言ってると分かったけど、気づかないふりをして、頷くだけにした。

｢筍料理は、あと、若竹煮と筍御飯、穂先の酢の物をお出ししますのでね。
では、メインのお鍋に火を着けますね。｣

お膳に鹿肉の乗った大皿が出る。

｢牡丹と比べると朱色なのがお分かりになりますか。｣

｢ああ、だいぶ違うね。｣

ハルトがお鍋をｼﾞｲｯと見ていた。

蓋を開けると、

｢ああっ…人参も紅葉の形に切られてる。｣

お鍋の中だけ秋になっていた。

｢｢いただきます。｣｣

豚汁とは違った旨味のあるお鍋だった。

｢コースには鹿刺しもあるのですが、お出かけが終わられてから、お酒で召し上がっていただきたいので、
釣れたお魚と一緒に後程お出ししますね。｣