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***堕散る(おちる)***
第27章 step27 二十一段目…初夏
「仕事については、進路については、少し考えさせてください。
ルリともよく話し合いたいし…」
「はい、わかりました。」
「では、今日はこの辺で…
余り遅くなるとぴよちゃんも電車に乗りづらいでしょうから…
ケーキご馳走さまでした。」
「こちらこそ美味しいお料理と貴重な時間をありがとうございました。」
ハルトと話す間もなく玄関で見送った。
ハルトが帰ってしまった。
「少しこのまま話をしてもいいかしら?」
玄関を閉めて母から切り出される。
ワタシたちはリビングに戻り、紅茶を入れ直して対面に座る。
怒られる。
そう思っていたワタシは母の言葉を待っていた。
「何にも知らされてなかったのはちょっとショックだったわ。」
「ごめんなさい。」
「いえ、ショックというより、寂しかったわ。」
「ごめんなさい…」
「ルリも大人になっていたのね。
忙しさにかまけて見ていなかったのは私の方なのかもね。」
「お母さん…」
「ハルトさん、家庭環境が変わっていると言っていたけど、あの若さで会社を大きくして、努力もしたし力もあると思うの…」