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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
「サングリアです。色は濃いですが、アルコール度数は低いですから。」
執事が説明する。
「では、新たな出会いに。」
王様が盃を掲げるので、慌てて同じようにした。
それを下げてから盃を合わせる。
キンと金属のぶつかる鈍い音がした。
フルーツの甘さと酸味、僅かにワインの渋味がした。
執事とメイドが一つのドームを開ける。
「マッシュルームのボタージュにございます。」
また、王様の真似をしようと思っていたら、王様がワタシをじっと見ていた。
たぶんワタシが口にするのを待っているようだった。
スプーンは左側と奥に2本ずつ置かれていた。
「あの、マナーが判らずどれを使ったらよいかわかりません。」
「あはは、そんなことは気にせず使いやすそうなものでいいんだ。
左右のものは外側から、奥のものは手前から使うように置かれている。
左右はメインを、奥はデザートやスープなど添え物に使うものだ。」
言われて見ると、奥の手前のスプーンは球を途中で切ったように窪んでいた。
ワタシがそれを手に取ると、王様が正解とばかりの笑みを浮かべた。