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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事
30分程乗っていただろうか…
「そろそろ戻るか、鞍の前にあるバーにしっかり掴まれ、
スノー行くぞ。」
手綱をピシンと鳴る程強く引き、スノーのお腹を王様が蹴る。スノーが今までにないスピードで駆け抜ける。
ワタシはしっかりバーを握りしめた。
「ああ、柵に当たっちゃう。」
「大丈夫だ。俺とスノーを信用しろ。」
きゃあああっ…
「騒ぐなっ…」
スノーが飛んだ。
ワタシは王様に寄り掛かってしまう。
王様が、片手を手綱から離し、ワタシのお腹に回して支えてくれた。
柵を乗り越えたスノーはペースを落としていく。
一瞬のことだったが凄く長く感じた。
「飛べたか?」
「はい?」
「スノーと一緒に飛べたか?」
「すみません、怖くて目を瞑ってしまいました。」
「いきなりじゃ、信用出来ないか…」
王様の手に力が入り、抱き締められるようにして、耳元で話しかけられる。
違う緊張も合わさり心臓の音が聞こえた。
王様がひらりとスノーから降りる。
スノーはじっとしていて動かなかった。
「ほら、降りて…」
乗る時は踏み台があったけど、この柵の中には踏み台はない。