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***堕散る(おちる)***
第31章 step31 二十五段目…B1階 初仕事

濡れた布1枚を隔てているのに、王様の感触を直に味わおうと敏感に反応する肌。
ワタシだけなの?
恥ずかしくて王様の肩に顔を埋めた。
「こんなに擦り寄ってきて可愛いなら、猫を飼ってもいいなぁ。」
ワタシはこんなに緊張しているのに、王様は余裕だった。
抱かれたい、直接肌の温もりを感じたい。浅ましい思いでいるのはワタシだけなのだろうか…
階段を降りて部屋に戻るだけの距離が凄く長く感じた。
「子猫ちゃん、ドアを開けて?」
王様がワタシの方に首をかしげて言っているのすら判る。
ノブの場所を探す為に顔をあげると、王様の顔はまだ近くにあって、ワタシを覗きこんでいた。
ワタシはそっと視線を外して、ノブを回してドアを開ける。
「ほら、到着したよ。子猫ちゃん。」
そっと下ろされて床に足がついた。
ぎゅっと回してしまった手をほどくと、王様の顔は10センチも離れていない。
「ありがとうございます。」
目を見ることが出来なくて、耳元でお礼を言った。
「このままお風呂に入っておいで…」
腕をほどき、そのまま会釈して、逃げるようにバスルームに向かった。
『恋愛ごっこは要らないんだけどな…』

