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***堕散る(おちる)***
第32章 step32 二十六段目 B2階 犬になる

本当は立てるし泳げるのに…
こうやって人間だったことを忘れていけばいいのだ。

「犬かきはできるだろう?」

ユキを掴む手を緩めると、首を振ってワンワンと鳴く。

「ユキはかなづちな犬なんだな。」

笑って抱き締めるとホッとしたように肩に顎を乗せてくる。

1日でだいぶ犬らしくなったユキを可愛く思った。

しっかり温まりバスルームを後にして部屋に戻る。

下りの階段が怖いようで少し時間がかかったが。

部屋に戻り、自分でつまみを用意してワインを選ぶ。
ユキにはソファーの前で『伏せ』で待つようにいった。

晩酌用のユキの皿も用意してある。
ガラスのボウル皿だ。

ソファーに腰掛け、ユキのワイン風ジュースをガラス皿に注ぎ、自分のワインを注ぐ。

「乾杯。」

ユキのガラス皿にグラスの足をぶつけて乾杯した。

ピチャピチャと舐めて飲むユキに、チーズやハムを与えると手から食べる。
そのしぐさが淫靡だった。

自分のベッドの脇の床に厚手の毛布を畳んで敷く。

「ここがユキの寝床だよ。」

ユキは寂しそうに這って行き、そこにうつ伏せになる。
俺は上からも毛布をかけてやった。

「お休み」

ワン…
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