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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第2章 王子の嫉妬
「皇太子殿下とアーサー殿下がどうして」

「あの娘、何者? 王子二人に囲まれて」

 会話の端々が耳に飛び込んできたけれど、何のことか皆目判らない。興味津々の彼女たちの視線には一瞥もくれず、トーマスは歩き出した。

 
「行こう、こんなふざけた会話に付き合う必要はない」

 彼は人が変わったかのように乱暴だ。強い力で手首を掴まれて、引き摺るように連れてゆかれる。

「痛いわ、トーマス」

 図書館を出て少し歩いた先に、学生たちが休憩するための広場がある。木製のベンチが幾つか置かれていたが、陽差しも強い今は幸いにも他の学生は見当たらなかった。
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