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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第3章 真夜中のプリンセス・ベル
寒い、寒くて堪らない。六月下旬だから、寒いはずはなく、むしろ暑いはずなのに、悪寒が止まらない。エレベーターが四階で止まると、疲れた身体を引き摺るようにして二人が暮らす部屋まで歩き、玄関ブザーを押した。
合い鍵は持っているけれど、開けるだけの気力もなかったのだ。
「はーい」
聞き慣れた声が聞こえ、ほどなくキーロックが解除される音が続いた。扉が内側から開き、ミッシェルが顔を覗かせる。