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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子

彼女と笑顔で別れてから、トーマスは一人頬を緩めていた。護衛が待っているはずの場所には先刻までは花屋が店を出していたはずである。花屋はもう店じまいしたのか、姿は見えなかった。彼らは花屋が店を出していた場所―丁度四辻を回った路地裏に身を潜めていた。そこからであれば比較的人眼にもつかず、王子に何かあったときはすぐに行動できるからだ。
「ヒャッホ―」
普段物静かで、滅多に感情を表に出すことのない皇太子が奇声を発した―と彼らには映じたらしい―ものだから、二人の黒服の屈強な護衛たちはギョッとしたようだ。
「ヒャッホ―」
普段物静かで、滅多に感情を表に出すことのない皇太子が奇声を発した―と彼らには映じたらしい―ものだから、二人の黒服の屈強な護衛たちはギョッとしたようだ。

