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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子

道ゆく人たちも時間のせいか数は減っていたが、それでもトーマスの浮かれぶりは、かなり目立っていたようで、自転車ですれ違った新聞配達の少年が眼を剥いていた。
「殿下。何か良いことでもございましたか?」
彼らはトーマス専属の護衛になって数年が経つ。それぞれ三十代、二十代の世代の近い護衛たちだ。
最初に訊ねてきた三十代の方はそれでもまだ抑えた語調だったのに引き替え、若い方は好奇心を堪えるのに失敗したらしい。
「可愛い娘(こ)でしたね。あれなら、殿下がお眼に止められるのも―」
「殿下。何か良いことでもございましたか?」
彼らはトーマス専属の護衛になって数年が経つ。それぞれ三十代、二十代の世代の近い護衛たちだ。
最初に訊ねてきた三十代の方はそれでもまだ抑えた語調だったのに引き替え、若い方は好奇心を堪えるのに失敗したらしい。
「可愛い娘(こ)でしたね。あれなら、殿下がお眼に止められるのも―」

