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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第2章 王子の嫉妬
王子さま―トーマスが穏やかに言う。
「先約というのは、ドクター・ワトソンのことだね?」
「そうなの。フィリップにも約束しているから、約束を破れないわ。ごめんなさい」
少し躊躇ってから、ロザリナは言った。
「トーマス、申し訳ないけれど」
「いや、彼らと先に約束したのなら、今回は俺が引くべきだ。それくらいの分別は持ち合わせているよ」
王子さまがにっこりと笑い、フィリップの頭を撫でた。
「またな、フィリップ」