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第7章 小塚の憂い

「ケーキも食べ終わったみたいだしこれで今の所思い残すことはないよ」

「なんですか？急に」

「さっきの続き知りたいんだよね？忘れてくれて良いんだけどね。俺としては」

「ちゃんと覚えてますよ」

頭を掻きあげながら困ったように溜め息を吐いて私を見直した。

「変わってるって言うのは俺の中にはない選択肢だったからだけで深い意味はないよ」

「いきなり逃げるんですか」

「なんでそんな聞きたいかな。……初めて間宮さんが店に来た時、自惚れじゃなく見惚れられた気がしたんだよ。大抵の人は２回目位で話し掛けて来るのに貴方はあからさまに意識しながらも素っ気なくしていたから変な人だなって」

うわぁ、この人声掛けられ慣れてるんだ‥。確かに見入っちゃった自覚はあるんだけど…。
でもかっこいい人を見てしまうのは条件反射みたいなもので。

「たまに外で話しかけるとこっちにまで伝わるくらい緊張して、必死に自分をよく見せようとしているのが分かるのにいつも間宮さんは逃げるように去っていく。誘いも乗るし抱きたいと言えば抱かせてくれるし求めてくれる。なのに俺のことは好きじゃないし避けたがる。変わった人だなって思うじゃないか」

確かに言われてみればそうかもしれない。
私は小塚さんに視線を奪われて、免疫もないのに話し掛けられてドギマギして威圧感と言いながら嫌がりもせず誘いに乗ってすんなりと絆されてキスをした。
そして、もっと触れてみたいと気持ちのどこかで思った。
でも同時にこんな人が私に声を掛けてくるなんて現実味もないし、本気なわけがないって思ってしまう‥私は乱されたくない。