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キスをして
第3章 間宮の憂鬱
今日も朝から清々しいくらい晴れている。
薄目のメイクを素早くすませグレーのスーツに身を包む。
ブラックコーヒーをカウンターで立ったまま飲んで朝食をすまして出勤する。

昨日は一歩も外に出ることはなかった。うっかり彼に会ってしまったらどうして良いか分からないし、普通に振る舞える気がしなかったからだ。

実際今日だっていつもより1時間早く出勤する。

「あれ、おはようございます」

「………」

なんで?私時間ずらしてるよ?大体開店時間でもないのに外に出てくるのよ!

「おはようございます」

「スーツ珍しいですね」

あまりのいつもの調子に恨めしく思えてくる。
こっちは昨日ずっともやもやしてたのに!

「今日は取引先で打ち合わせがあるんです」

「頑張ってくださいね、いってらっしゃい」

なんで普通なの!?忘れてるの!?
それとも何か!?僕に取っては何でもないことって事?

「あの…土曜日はごちそうさまでした」

「いえいえ、僕飲み過ぎちゃったみたいで」

「……」

もしかして覚えてない…?

小塚さんはきょとんとした顔で私の言葉を待っている。
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