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キスをして
第9章 小塚の本懐
前は何を考えているのか全く分からなかったけど少しずつ分かるようになってきたと思う。
でも何となくの違和感しか分からない。だって普段はずっとにこにこ笑っているから。

「あの人もずっと働くんだろうね」

「……あの人?黒沢さん?」

気まずそうに目を伏せる誠司にそんな事かと思う反面いい加減信用してほしい。

「黒沢さんが嫌い?」

「嫌うとかの前にどんな人なのか分からないから好き嫌いはないよ…あの人諦めてなさそうなのが気掛かりで」

「大丈夫だよ。だって再度振り直したもん」

「いつ?」

「先に誠司を車に向かわせた後『バカな友人』って言っておいた。それに誠司が私を1人にしなければ付け込まれないんだよ?」

「じゃあ虫除けにまた印付けないと」

「後でね」

肯定した私に驚いたのか少し動揺しながらはにかんだ。
やはり言われるのは苦手らしい。

そんな楽しい遅れたクリスマスの思い出は怒涛の年末年始で掠れてしまう羽目になる。
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